危機感の乏しさ
「財政が大赤字だからといって、原油高などに苦しむ国民の生活をほったらかしにしていいわけがありません。財政よりも国民の生活のほうが、はるかに大事なんです」と力説するのは、こんどの自民党総裁選挙で本命視されている麻生太郎幹事長です。2001年に小泉純一郎政権が誕生するまで、日本はこうしたことを繰り返してきました。その結果、財政赤字は何と860兆円にも膨らんでいます。
9月8日、小沢一郎氏が無投票で、民主党の代表に選ばれました。そして、記者会見しました。その中で、小沢代表は政権交代の必要性を強調したあと、民主党の政策をめぐる財源について次のように述べました。「政府予算には、一般会計にしろ、特別会計にしろ無駄なものが多々ある。そうしたものを使えば、消費税を値上げしなくても民主党が国民に約束した政策を十分実行できる」。
「霞が関埋蔵金」という表現こそしなかったものの、財源のメドについては自信満々の様子でした。埋蔵金の一つ一つについて、民主党は組織的に十分精査したに違いありません。国の予算をめぐる高橋洋一氏の地道な分析を、民主党は完全に咀嚼マスターしている感じです。一方、自民党の年配議員は財務省に洗脳され、埋蔵金を使うことに躊躇しています。やれ赤字国債の発行だとか、消費税の大幅アップだとか、呑気なことを言っています。財務省の決まり文句は、「埋蔵金は1回使ったらもうおしまい。恒久財源にはなり得ない」というのです。
そんなことはありません。財務省の言う通りのものもあれば、そうでないものもあります。問題の本質はそんなことではありません。埋蔵金が実に巨額だということです。景気の回復や貧困対策などに、継続的に使えるということです。小沢代表は、「いま現在、無駄な予算は数十兆円」あると指摘していました。
霞が関が目指しているのは、「天下り制度」の温存です。誠に情けない限りです。成立した「公務員制度改革基本法」を具体化するための関連法案が、来年の通常国会に提出される段取りとなっています。その骨抜き作業に、霞が関は懸命なのです。財政の赤字がどうなろうと、関係がないのです。先進国の中で、こんなに無気力で税金の無駄遣いに鈍感な政府機関はありません。
前回も申しましたが、日本では借金まみれの財政が、あらゆることの足かせとなっています。財政の再建と不況の克服を同時並行的にやらねばなりません。それには、①埋蔵金の有効活用、②歳出カットの徹底、③公務員制度・地方分権改革の断行、④膨大な政府資産の売却が必要です。それらを実行したうえで、財源が足りなければ⑤消費税率のアップということになります。これは上げ潮派のシナリオです。おそらく民主党が政権奪取に成功したら、上げ潮派のシナリオを参考にするに違いありません。
自民党若手議員の棚橋泰文氏は、赤字国債の発行に猛烈に反対しています。「これ以上赤字を増やしたら破産状態になる」と怒りまくっています。もの凄い迫力です。まさに正鵠を射ています。自民党の年配議員の危機感の乏しさが、日本転落の引き金を引くような気がしてなりません。###
