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2008年9月28日 (日)

米金融危機と対策の遅れ

 9月28日の日経新聞朝刊は、米金融危機をめぐる対策の遅れについて、鋭い警鐘を鳴らしています。記事の執筆者は、編集委員の梶原誠氏です。事実の究明・分析・文面も、全く申し分ありません。この優れた記事が掲載されているのは、1面左側の「金融資本主義の誤算」という企画です。原文のままご紹介いたします。但し、全文ではありません。

 大恐慌も金融の暴走が招いた危機だ。株の信用取引ブームなどマネーの膨張が株価暴落を機に収縮。大量の企業倒産を招いて、4人に1人が職を失い、再生に10年以上を費やした。

 危機を経験した外国の市場関係者は、問題の根深さに気づいていた。「北欧の投資家は、早くから米国の行方に悲観的だった」。17日、東京。世界から集まったシティグループの株式ストラテジストが米金融危機への各国の反応を報告しあった際の証言だ。

 スウェーデン、フィンランド、ノルウェー。3か国は80年代末以降、不動産などのバブル崩壊で次々と金融気に陥った。カネ余りによる資産価格の高騰、銀行管理の甘さ、金融監督の不備ーバブルの要因は米国と同じだ。

 だが、対応は素早かった。スウェーデン政府は危機が表面化した直後に銀行の国有化を断行。不良資産の分離、経営責任の追及、合理化と一気に手を打った。企業の生産は危機の3年後に拡大軌道に乗った。

 対応が遅れたのは日本だ。RCC(整理回収機構)を立ち上げても危機は終わらなかった。損失を出して不良債権をRCCに売る銀行も、経営状態が深刻と見られてしまう銀行も、責任を恐れて積極的に利用しなかった。大胆な政策を先延ばしする間に銀行の資本は傷み続けた。貸し渋りに拍車がかかり、企業の経営は一段と悪化、銀行の不良債権は膨らんだ。金融危機と実体経済の悪循環に陥ったのだ。

 日本の株価が底を打ったのは、RCC発足から4年たった2003年。景気の底割れに直面した政府が、銀行と企業とを同時に再生する「産業再生機構」を立ち上げ、りそなグループへの資本注入にも踏み切った。

 再び現在のワシントン。ヘッジファンドの調査部門は、運用担当者に日本の経緯を説明し、米国株の売却を勧めた。「危機はまだ終わりません」。

 米政府は3月のベアー・スターンズの経営危機以降、個別機関への対応に追われてきた。ようやく包括的な安定化策に動いたが、資本注入は想定していない。日本でいえば、危機の終える4年前の段階に過ぎない。

「このままでは日本の二の舞だ」。リーマン・ブラザーズの破綻後、米国のテレビ討論番組では「失われた10年」の再来を警告する専門家も出始めた。株式市場で続く動揺は、米政府や議会の対応が遅れ、不審が強まった結果といえる。金融資本主義を過信した代償を払って再生に進むのか、誤算の種を増やすのか。今度は米国が歴史を刻む番である。

 米国の財務省は、日本の霞が関と同じで全く無能です。日本の失敗例をみれば、もっと早めに包括的な手を打たなければなりませんでした。今日の危機拡大は、米財務省の無能のせいです。株式の信用取引にしても、金融工学を駆使して開発した各種証券化商品にしても、市場を攪乱する魔性を初めから帯びています。この魔性を利用して利益を最大化しようとする関係者は、当局による規制を極端に嫌います。しかし、彼らの主張を無制限に容認してはなりません。また、行過ぎた金融資本主義の下で、法外な報酬をむさぼってきた金融機関の経営者にしても、一般企業の経営者にしても、このまま放置はできません。一定以上の報酬に対しては、超高率の所得税を課さねばなりません。そうしませんと、所得の格差が拡大し過ぎて、社会全体が不安定になってしまいます。

 米国にしても、日本にしても、「所得税は見直すべきでない」という意見が支配的です。高額所得者に対し高率の所得税を課すと、社会の活力が失われるというのです。また、高額所得者は、税率の低い国に移住してしまうというのです。しかし、これは実証的な理論ではありません。頭の中でこねくり回した推論にすぎません。一部の金持ちが益々大金持ちになる社会は、活力もなく発展もしません。古今東西の歴史が、それを証明しています。やはり、貧富の差が小さく中産階級が多い社会こそが、活力があり治安状態も安定しています。日本と米国は税制の面からも、国のあり方を根本的に見直さなければなりません。行過ぎた金融資本主義も、行過ぎた政府介入主義も、排除しなければなりません。 ###

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