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2008年9月27日 (土)

米金融危機と国民感情

 米政府による「金融安定化法案」が公表されてから、27日で8日目となります。米財務省によりますと、法案の内容は、75兆円にのぼる公的資金で、金融機関の抱える不良債権を買い取るというものです。買い取る対象は、住宅ローンやその関連の証券化商品です。買取期間は2年です。しかし、米議会との折衝が難航し、いまだに法案成立の見通しが立っていません。27日の日経新聞が伝えるところによりますと、政府案に対し、民主・共和両党幹部が注文をつけています。注文の内容は、①公的資金のうち半額の37.5兆円の支出については、議会側が拒否権を有すること、②公的資金の運用を監視する第三者委員会を設置すること、③金融機関の役員報酬を制限することなどとなっています。

 そうした中で、共和党内で新たな案が急浮上しました。共和党の案は、新しい保険制度を創設することによって、不良資産の損失リスクを補てんしようという内容のようです。保険制度の原資には、金融機関が支払う保険料を充て、公的資金を一切使わない枠組みとのことです。

 しかし、「金融安定化法案」をめぐる調整がもたついている間に、全米6位の貯蓄金融機関「ワシントン・ミューチュアル」が25日経営破たんしました。貯蓄金融機関は預金を元手に、住宅ローンを貸し出して利ざやを稼いでいます。ところが、担保となる住宅価格の下落で、貸し倒れ比率が高まっているとされています。 

 金融危機をめぐる米政府の対応について、竹中平蔵氏は21日、「対応が早いし、やるべきことはやっている」と解説していました。これは明らかに間違った解説です。1990年代の日本の金融危機について、米政府は何も学習していません。特に、ポールソン財務長官がそうです。危機の認識が乏しかったうえ、打つ手が常に遅過ぎましたし、小出しすぎました。現在、議会側と調整している金融安定化法案について、もっと早く取り組んでいれば、金融危機の傷口はこんなに広がりませんでした。

 米金融危機について、もう2人おかしな解説をする人物がいました。1人は三井物産戦略研究所の寺島実郎所長です。もう1人は、元財務省財務官の榊原英資氏です。日本の政府系金融機関は10月から大統合されますが、2人とも「日本はそんなことをしている場合でなない。統合によって、中小企業向け融資は一体どうなるのか」と強調していました。小学生でも分かることですが、統合したからと言って中小企業向け融資部門がなくなるわけでありません。この2人については、事実を踏まえないで軽率な発言をするケースが目立ちます。事実を踏まえない言動は、極めて罪深く許してはなりません。

 話がやや横道にそれてしまいました。元に戻します。、「金融安定化法案」は、一刻も早く成立させませんと、金融危機の傷口はさらに広がってしまいます。議会関係者の多くも、そのことはよく分かっています。しかし、一般国民の間には、高額な報酬をむさぼってきたウォール街の関係者に対し、根強い反発があります。「米国社会の仕組みは、ウォール街の人々に有利なように変えられてきた」という怨嗟の声です。こうした怨嗟の声は、金融危機の深刻化によって、ますます広がりを見せています。金融安定化法案の調整は、日本時間の29日未明までに決着するという見方が一般的です。そうでない場合は、世界の金融は恐慌状態となってしまいます。###

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