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2008年9月

2008年9月30日 (火)

金融恐慌に突入

 米国の金融危機は、いよいよ恐慌に転じました。米下院が29日、「金融安定化法案」を否決したからです。これに伴って、この日のニューヨーク株式市場は、777ドルという史上最大の下げ幅を記録しました。また、この日、米大手銀行のワコビアが、銀行部門をシティグループに買収されました。

 米国の金融恐慌の影響で、欧州の金融機関も次々と経営危機に陥っています。日本経済新聞によりますと、英国の住宅金融大手の「ブラッドフォード・アンド・ビングレー(B&B)は、29日、一部国有化されました。国有化されたのは、420億ボンドに及ぶリスクの高い住宅ローン部門などです。残りの210億ポンドの預金と約200の支店は、スペイン最大手の銀行サンタンデールに売却されました。さらに、ベルギー、オランダ、ルクセンブルクのベネルックス3国は、28日夜、金融大手のフォルティスの一部を国有化しました。投入された公的資金は、総額112億ユーロです。

 日米欧の主要10か国の中央銀行は、29日、市場へのドル資金の供給額を大幅に増やすことを決めました。それによりますと、資金供給額はこれまでの2倍の6200億ドルに増やすとしています。また、資金供給の期間も、これまより3か月延長して、来年4月まで続けるとのことです。その結果、日銀が供給するドル資金は、1200億ドルと倍増することになります。 

 米下院が「金融安定化法案」を否決したのは、与党共和党議員の造反によるものでした。造反議員の多くは11月の選挙で、苦戦が伝えられているとされています。それだけに、国民の間に根強い反ウォール街の感情に従わざるを得ませんでした。海外からは経済合理性よりも、1票のほうを優先したと非難される所以です。

 それにしても、今の米国は金持ち優遇社会です。富豪たちも、こぞってそれを認めています。中でも、金融機関の役員報酬は、法外過ぎます。数十億円というのは当たり前でした。退職金となりますと、100億円を超えていました。今度の金融安定化法案では、議会幹部の要請で、役員報酬に制限を加えることが盛り込まれました。しかし、国民の多くは、それに納得していません。経営責任を追及すべきだとしています。金融安定化法案がどのよう手直しされ、いつ議会で成立するのか、今のところ見通しが全く立っていません。米国の金融恐慌は、先行き不透明の中でさらに深刻化しそうです。###

(註)肩が痛く、再び休止します。

 

2008年9月28日 (日)

米金融危機と対策の遅れ

 9月28日の日経新聞朝刊は、米金融危機をめぐる対策の遅れについて、鋭い警鐘を鳴らしています。記事の執筆者は、編集委員の梶原誠氏です。事実の究明・分析・文面も、全く申し分ありません。この優れた記事が掲載されているのは、1面左側の「金融資本主義の誤算」という企画です。原文のままご紹介いたします。但し、全文ではありません。

 大恐慌も金融の暴走が招いた危機だ。株の信用取引ブームなどマネーの膨張が株価暴落を機に収縮。大量の企業倒産を招いて、4人に1人が職を失い、再生に10年以上を費やした。

 危機を経験した外国の市場関係者は、問題の根深さに気づいていた。「北欧の投資家は、早くから米国の行方に悲観的だった」。17日、東京。世界から集まったシティグループの株式ストラテジストが米金融危機への各国の反応を報告しあった際の証言だ。

 スウェーデン、フィンランド、ノルウェー。3か国は80年代末以降、不動産などのバブル崩壊で次々と金融気に陥った。カネ余りによる資産価格の高騰、銀行管理の甘さ、金融監督の不備ーバブルの要因は米国と同じだ。

 だが、対応は素早かった。スウェーデン政府は危機が表面化した直後に銀行の国有化を断行。不良資産の分離、経営責任の追及、合理化と一気に手を打った。企業の生産は危機の3年後に拡大軌道に乗った。

 対応が遅れたのは日本だ。RCC(整理回収機構)を立ち上げても危機は終わらなかった。損失を出して不良債権をRCCに売る銀行も、経営状態が深刻と見られてしまう銀行も、責任を恐れて積極的に利用しなかった。大胆な政策を先延ばしする間に銀行の資本は傷み続けた。貸し渋りに拍車がかかり、企業の経営は一段と悪化、銀行の不良債権は膨らんだ。金融危機と実体経済の悪循環に陥ったのだ。

 日本の株価が底を打ったのは、RCC発足から4年たった2003年。景気の底割れに直面した政府が、銀行と企業とを同時に再生する「産業再生機構」を立ち上げ、りそなグループへの資本注入にも踏み切った。

 再び現在のワシントン。ヘッジファンドの調査部門は、運用担当者に日本の経緯を説明し、米国株の売却を勧めた。「危機はまだ終わりません」。

 米政府は3月のベアー・スターンズの経営危機以降、個別機関への対応に追われてきた。ようやく包括的な安定化策に動いたが、資本注入は想定していない。日本でいえば、危機の終える4年前の段階に過ぎない。

「このままでは日本の二の舞だ」。リーマン・ブラザーズの破綻後、米国のテレビ討論番組では「失われた10年」の再来を警告する専門家も出始めた。株式市場で続く動揺は、米政府や議会の対応が遅れ、不審が強まった結果といえる。金融資本主義を過信した代償を払って再生に進むのか、誤算の種を増やすのか。今度は米国が歴史を刻む番である。

 米国の財務省は、日本の霞が関と同じで全く無能です。日本の失敗例をみれば、もっと早めに包括的な手を打たなければなりませんでした。今日の危機拡大は、米財務省の無能のせいです。株式の信用取引にしても、金融工学を駆使して開発した各種証券化商品にしても、市場を攪乱する魔性を初めから帯びています。この魔性を利用して利益を最大化しようとする関係者は、当局による規制を極端に嫌います。しかし、彼らの主張を無制限に容認してはなりません。また、行過ぎた金融資本主義の下で、法外な報酬をむさぼってきた金融機関の経営者にしても、一般企業の経営者にしても、このまま放置はできません。一定以上の報酬に対しては、超高率の所得税を課さねばなりません。そうしませんと、所得の格差が拡大し過ぎて、社会全体が不安定になってしまいます。

 米国にしても、日本にしても、「所得税は見直すべきでない」という意見が支配的です。高額所得者に対し高率の所得税を課すと、社会の活力が失われるというのです。また、高額所得者は、税率の低い国に移住してしまうというのです。しかし、これは実証的な理論ではありません。頭の中でこねくり回した推論にすぎません。一部の金持ちが益々大金持ちになる社会は、活力もなく発展もしません。古今東西の歴史が、それを証明しています。やはり、貧富の差が小さく中産階級が多い社会こそが、活力があり治安状態も安定しています。日本と米国は税制の面からも、国のあり方を根本的に見直さなければなりません。行過ぎた金融資本主義も、行過ぎた政府介入主義も、排除しなければなりません。 ###

2008年9月27日 (土)

米金融危機と国民感情

 米政府による「金融安定化法案」が公表されてから、27日で8日目となります。米財務省によりますと、法案の内容は、75兆円にのぼる公的資金で、金融機関の抱える不良債権を買い取るというものです。買い取る対象は、住宅ローンやその関連の証券化商品です。買取期間は2年です。しかし、米議会との折衝が難航し、いまだに法案成立の見通しが立っていません。27日の日経新聞が伝えるところによりますと、政府案に対し、民主・共和両党幹部が注文をつけています。注文の内容は、①公的資金のうち半額の37.5兆円の支出については、議会側が拒否権を有すること、②公的資金の運用を監視する第三者委員会を設置すること、③金融機関の役員報酬を制限することなどとなっています。

 そうした中で、共和党内で新たな案が急浮上しました。共和党の案は、新しい保険制度を創設することによって、不良資産の損失リスクを補てんしようという内容のようです。保険制度の原資には、金融機関が支払う保険料を充て、公的資金を一切使わない枠組みとのことです。

 しかし、「金融安定化法案」をめぐる調整がもたついている間に、全米6位の貯蓄金融機関「ワシントン・ミューチュアル」が25日経営破たんしました。貯蓄金融機関は預金を元手に、住宅ローンを貸し出して利ざやを稼いでいます。ところが、担保となる住宅価格の下落で、貸し倒れ比率が高まっているとされています。 

 金融危機をめぐる米政府の対応について、竹中平蔵氏は21日、「対応が早いし、やるべきことはやっている」と解説していました。これは明らかに間違った解説です。1990年代の日本の金融危機について、米政府は何も学習していません。特に、ポールソン財務長官がそうです。危機の認識が乏しかったうえ、打つ手が常に遅過ぎましたし、小出しすぎました。現在、議会側と調整している金融安定化法案について、もっと早く取り組んでいれば、金融危機の傷口はこんなに広がりませんでした。

 米金融危機について、もう2人おかしな解説をする人物がいました。1人は三井物産戦略研究所の寺島実郎所長です。もう1人は、元財務省財務官の榊原英資氏です。日本の政府系金融機関は10月から大統合されますが、2人とも「日本はそんなことをしている場合でなない。統合によって、中小企業向け融資は一体どうなるのか」と強調していました。小学生でも分かることですが、統合したからと言って中小企業向け融資部門がなくなるわけでありません。この2人については、事実を踏まえないで軽率な発言をするケースが目立ちます。事実を踏まえない言動は、極めて罪深く許してはなりません。

 話がやや横道にそれてしまいました。元に戻します。、「金融安定化法案」は、一刻も早く成立させませんと、金融危機の傷口はさらに広がってしまいます。議会関係者の多くも、そのことはよく分かっています。しかし、一般国民の間には、高額な報酬をむさぼってきたウォール街の関係者に対し、根強い反発があります。「米国社会の仕組みは、ウォール街の人々に有利なように変えられてきた」という怨嗟の声です。こうした怨嗟の声は、金融危機の深刻化によって、ますます広がりを見せています。金融安定化法案の調整は、日本時間の29日未明までに決着するという見方が一般的です。そうでない場合は、世界の金融は恐慌状態となってしまいます。###

2008年9月19日 (金)

「冷や飯組」の覚悟

「冷や飯組み」というのは、今や自民党「上げ潮派」の代名詞です。内閣改造が行われた8月1日以降、人事の面で冷遇されているからです。それに加えて、中心人物の中川秀直氏は先日、所属する町村派の総会で、最高顧問の森喜朗元首相に事実上一喝されました。森氏の意向に反して、自民党総裁選に小池百合子氏の擁立を目指していたからです。その日、中川氏は「これでは冷や飯も食えないな」とボヤいたとのことです。しかし、その日の夕方以降、気を取り直したようです。さらに、9月15日のホームページでは、次のように述べています。「冷や飯が怖いようでは、改革の覚悟があるとはいえない。鍋料理の楽しみは、締めの鍋料理だ。冷や飯を入れてたべる。具材のエキスを吸い込んで、これがうまい。構造改革路線を支持する覚悟を持った人々は、結束しなければならない」。

 日本の差し迫った課題は、何といっても景気後退に歯止めをかけることです。当初、「財源には建設国債を発行して・・・」なんていう意見が、政府部内にありました。しかし、「今すぐ使える霞が関埋蔵金が6兆円もある」という上げ潮派の指摘に対し、「国債発行」という意見はかき消されようとしています。2008年度に使える埋蔵金は、実のところ6,8兆円にのぼります。それにもかかわらず、「建設国債を・・・」というのは、理屈にあいません。埋蔵金というのは、一連の特別会計の剰余金のことです。それを使わずして、あらたに借金をするというのは、全く説得力がありません。建設国債というのは、公共事業や貸付金などにあてる借金のことです。借金という点では、赤字国債と全く同じです。

 日本のもう一つの重要な課題は、借金だらけの財政を再建軌道に乗せることです。そうしませんと、「年金・医療・介護の抜本的な改革」、「所得格差・地域間格差・官民格差の是正」もなかなかできません。この点についても、冷や飯組の「上げ潮派」は実に尤もなことを主張しています。上げ潮派の理論的支柱である高橋洋一氏によりますと、日本政府は約300兆円金融資産を保有しています。これを順次、証券化して時間をかけて売却し、財政赤字を大幅に圧縮すべきだというのです。ちなみに、300兆円の金融資産の内訳は、特殊法人などへの貸付金が250兆円、特殊法人や独立行政法人への出資金が50兆円です。

 上げ潮派が求めているような形で財政を再建軌道に乗せますと、年間22億円も払っている借金の返済がもっと少なくて済むようになります。その結果、財政に弾力性が増し、時代が求める温暖化防止や新しいエネルギー開発にも対応できます。上げ潮派は常々財政再建の道筋として、①デフレ脱却、②政府資産の圧縮、③歳出削減、④制度改革、⑤増税を提唱してきました。しかし、①~④までは同時並行的に実施しなければなりません。

 一方、与謝野馨氏を中心とする財政改革派は、まず消費税の税率アップを提唱しています。そのうえ、上げ潮派の主張は、「幻想に過ぎない」とか「まやかしだ」と非難しています。上げ潮派に対して、与謝野氏がムキになるのは、これまで何度か辛酸をなめさせられてきたからです。その一つが与謝野氏が会長を務めていた、自民党財政改革研究会の中間報告をめぐる確執です。高橋洋一氏の「さらば財務省」によりますと、問題の中間報告は2007年11月21日に明らかにされました。上げ潮派の主張や民主党の政権構想について、中間報告は「埋蔵金伝説の域を出ていない」と厳しく非難していました。そうした中で、27日、中間報告が自民党総務会で論議されました。中間報告は上げ潮派の面々によって、厳しい批判に晒されました。その結果、中間報告は総務会の了承を得られませんでした。代わりに、上げ潮派がまとめた「財政健全化の基本姿勢」が承認され、自民党の政策として正式採用されました。誇り高い与謝野氏を初めとする「財革研」の関係者にとって、これ以上の屈辱はありませんでした。

 22日に投票が行われる自民党総裁選挙は、麻生太郎氏が圧勝する見通しだと、新聞各紙は伝えています。そうなりますと、上げ潮派は引き続き冷や飯を食わねばなりません。しかし、「緊急経済対策に埋蔵金を有効活用すべきだ」という、上げ潮派の主張は採用されそうです。また、高橋洋一氏は、著書の「さらば財務省」が多くの人々に読まれているうえ、各地の講演に引っ張りだこです。上げ潮派の関係者は一時的に閣僚や党役員に起用されなくても、その考え方が急速に広まりつつあることを誇るべきです。

 霞が関の劣化を印象づける不祥事が、また続発しています。一つは食用に使用してはならないはずの汚染米が、給食に出されたりお菓子の原料として大量に使用されていたことです。問題となった汚染米は、輸入が義務づけられている外国産のコメです。残留農薬のほか、カビの生えていることが明らかになりました。これらの米は農林水産省が保管していただけに、責任を免れることはできません。9月19日、農林水産大臣と事務次官が、早々と引責辞任しました。もう一つの不祥事は、年金支給額の改ざんです。枡添要一厚生労働大臣は、社会保険庁の組織ぐるみの不正の疑いが濃いと述べています。そして、徹底的に調査して膿を出す方針を明らかにしています。霞が関は一段と劣化し病んでいます。###

2008年9月17日 (水)

金融危機の拡大

 米国では9月15日、金融危機がさらに拡大しました。ご承知のように、証券4位のリーマン・ブラザーズが63兆7500億円の負債をかかえて倒産したのです。負債金額は史上最大です。また、証券3位のメリルリンチも、銀行に買収されました。買収したのは、米銀行2位のバンク・オブ・アメリカです。いずれもサブプライムローン問題の影響で、不良債権が膨らんだためです。FRB(連邦準備制度理事会)のグリーンスパン前議長はテレビ局のインタービューに対し、「50年ないし100年に1度の事態が起きつつある」と沈痛な表情でした。米政府は7日に、住宅金融公社2社を政府の管理下に置いて、20兆円の公的資金を注入すると発表したばかりです。この1週間で何が起きたかといいますと、経営不安が伝えられたリーマン・ブラザーズとメリルリンチの株式が、ニューヨーク株式市場で売られに売られ続けたのです。その結果、2社の経営は立ち行かなくなってしまいました。

 リーマン・ブラザーズの経営破綻は、日本の金融機関だけでなく、個人投資家に大きな影響を与えます。金融取引が最もグローバル化しているためです。17日の日経新聞朝刊は、日本の大手銀行・地銀・保険会社の場合、リーマン・ブラザーズ向けの投融資は4400億円を超えると伝えています。そして、担保や損失回避のための取り引きで、補えないのは2300億円以上に達するとのことです。

 米国では保険最大手の「AIG]と貯蓄金融機関最大手の「ワシントン・ミューチュアル」も、経営不安が強まっていると伝えられいます。日経新聞によりますと、AIGが日本国内で生命保険事業3つと損害保険事業3つを営んでいます。そして、2007年度の保険料収入は、生命保険と損害保険を合わせてますと2兆1000億円です。それだけに、AIGの経営不安は、日本にとっても頭の痛い問題です。

 この金融危機に対し、米国・欧州・日本の中央銀行は15・16日の2日間だけで、30兆8000億円にのぼる資金を金融市場に供給しました。各金融機関による資金調達を円滑にするためです。現在、先進国の各政府と中央銀行が、緊密に連絡を取り合いながら必死になって金融危機の拡大を食い止めようとしています。極度に劣化したといわれる財務省も、ここは全省を挙げて金融機の拡大に務めなければなりません。その際、何よりも重要なのは、多角的かつきめ細かい情報の収集と情報の的確な分析です。

 米国の官僚や識者の間には、日本でかつて起きた金融危機の際、日本政府は抜本的な対策を打ち出すのに10年以上もかかったと批判する空気が支配的です。しかし、こんどの米国発の金融危機に際しては、日本はいくつかのルートで、もっと早めに思い切った対策を実施するよう提言しました。しかし、米財務長官の対応は、率直に申して常に後手後手でした。日本の財務省や日銀は、断固として米国のこれ以上の後手後手の対策を許してはなりません。###

 この原稿を書き上げたあと、米政府とFRBは日本時間の17日午前10時、AIGの救済策を発表しました。それによりますと、9兆円の融資を行う一方、事実上、政府の管理下に置くとのことです。   

2008年9月15日 (月)

中川秀直氏を叱る

 自民党の中川秀直氏は、たびたびご紹介していますように、政界きっての政策通です。自身のホームページの「トゥデイズアイ」では、ほぼ毎日、新聞各紙の社説やコラムなどを1つだけ取り上げて論評しています。「トゥデイズアイ」の面白いところは、社説やコラムの全文を紹介したうえで論評していることです。こんどの自民党総裁選では、「上げ潮派」の中心人物として小池百合子氏を推しています。以下は、9月15日に中川事務所に送信したFAXの全文です。

914日の「トゥデイズアイ」を拝読いたしました。中川代議士は、政策の提示の手順を間違えています。小池百合子氏もそうです。

  国民が最も知りたいのは、景気の回復と財政再建を同時に実現する具体的道筋です。したがって、上げ潮派として先ず示すべきことは、向こう3~5年間に、「有効活用する霞が関埋蔵金の具体的金額」と、「売却する政府資産の具体的な金額」です。それを示さないで、「構造改革の継続」とか「内閣人事局」・内閣予算局」の実現も叫んでみても、国民の腹に落ちません。

  ①を先ず示したうえで、格差問題や貧困対策に取り組むことを強調すべきです。そのうえで、金融政策の転換や公務員制度改革を中心とした構造改革の中身を語るべきです。いきなり各論では、国民の80パーセントは理解しようとしません。何を言わんとしているのか、頭の悪い奴らだと思われるのが関の山です。

折角、苦労して仕上げた上げ潮派の政策も、説明の手順を間違えたのでは、それこそ「もったいない」限りです。今こそ、知恵を振り絞って、政策の手順と内容をわかりやすく説明すべきです。竹中平蔵氏や高橋洋一氏も時々事務所に顔を出されるでしょうが、何かペーパーを携えながらテレビスタジオを歩き回る小池氏をみますと、非常に頼りなく見えます。総裁候補の人選を間違えていると思わざるを得ません。###

2008年9月13日 (土)

危機の深淵

 米国の金融危機は、不気味な様相を見せています。住宅ローンの元締めの住宅金融公社2社が、遂に政府の管理下におかれたのです。救済策が発表されたのは、日本時間の9月7日の日曜日です。内容は政府の管理下に置くことに加え、合計21兆6000億円という巨額な公的資金を投入することや、経営者の更迭などなっています。2つの住宅金融公社は半官半民の企業体です。そして、米国内の住宅ローンのほとんどについて、債務保証をしています。また、金融機関から住宅ローン債券を買い取ったうえ、証券化して販売しています。これらの事業を営むうえで必要な資金については、公社債を発行して調達してきました。

 しかし、2007年夏に表面化したサブプライムローン問題の影響で、2つの公社の株が暴落しました。さらに、発行する公社債についても買い手が減少し、資金調達が思うようにできなくなっていました。その結果、経営危機に陥り、今年7月に米政府による支援を受けたばかりです。2つの公社が発行する公社債は、米国債に次いで信用力があるとあって、残高が530兆円にのぼっています。それだけに、米国を含む各国の大手金融機関は、2つの公社の公社債などを大量に保有しています。日本の場合、これまでに公表されたものだけで、保有残高は15兆円に達しています。

 日本経済新聞が伝えるところによりますと、6月末から8月25日にかけて、中国の4大銀行の一つである中国銀行が、2つの公社の公社債の保有残高を29%減らしました。その結果、米財務省は危機感を募らせ、大規模な救済策に踏み切ったのです。その後も、日本の大手金融機関に対し個別に電話を入れ、保有している公社債を売却しないよう要請しているもようです。

 世界中の投資家だけでなく、一般国民も新聞を注意深く読んでいれば、米国が金融資本主義にもがき苦しんでいることが分かります。金融資本主義は米国自身が主導し、世界中に広めました。金融工学の発達によって、金融商品の品揃えは数えきらないほどです。中には幾度も証券化を重ねた商品もあります。それらの商品は、すでに中身の一部がブラックボックス化しています。そのうえ、取り引きの形態も複雑になっており、金融当局も実態をつかむのに大わらわです。さらに、2つの住宅金融公社の場合、これまで信用力を背景に住宅金融市場を支配し続けてきました。また、多くの政治家を使って、経営体質の改善を求める声を摘み取ってきました。その結果、改革意欲に乏しい経営体質を生み、政府の管理下におかれる事態になりました。今や、行過ぎた金融資本主義の是正は先進国共通の認識です。先進各国の金融当局は、足並みを揃えて有効な対策を練り上げる義務と責任があります。

 ロシアも予期せぬ経済的混乱に直面しています。8月上旬、隣国のグルジアに軍事侵攻したためです。それ以来、海外資本のロシアからの流出が続いています。ロシアは今年5月、企業に対する政府の関与を強めました。それ以来、株価が値下げに転じました。そうした中で、グルジアへの軍事侵攻は、株価の値下がりに拍車をかけています。また、原油価格も大きく値下がりしていることから、ロシア政府は必要な対策を迫られています。これまでところ、暴落するルーブルを買い支える為替政策しか実施していません。経済のグローバル化の下で、ロシアが直面した初めての苦悩です。欧米諸国から理不尽といわれようと、このまま強気の外交政策を貫くのかどうか眼を離せません。

 12日午前、テレビのBS1で放送した「ブレアの戦争」というドキュメンタリー番組を、NHK総合テレビで見ました。ブレアというのは英国の前首相です。米国のブッシュ大統領と共にイラク戦争を始めた人物です。ブレア首相はイラク戦争の開始までは、正義の政治家・信念の政治家として高く評価されていました。しかし、イラク戦争を始めたのは、正義よりも信念に軸足を置き過ぎたからです。戦争を始める前、ブレア首相は3回ブッシュ大統領と会談しています。そのうち2回は、イラクにおける核兵器、生物兵器、化学兵器の有無について、徹底的に調査するようブッシュ大統領に進言しています。そうした中で、国連の調査団からも、米英の情報機関からも、「大量破壊兵器は無いようだ」という調査結果が上がってきました。

 3回目の会談を迎えて、ブレア首相は大量破壊兵器がテロリストの手に渡れば、善良な市民が殺されるということを改めて強く意識します。米国の9.11事件が、終始、頭から離れていないためでした。ブッシュ大統領からも、「政権を失うようであれば、米国と共同歩調を取らなくてもいいんだ」とまで言われました。しかし、ブレア首相は国連や情報機関の調査結果や、戦争反対の側近たちの進言を無視する形で、戦争突入の決断をしてしまいます。

 ヒットラーやムソリーニの台頭を許した英首相のチェンバレンや、コソボ紛争への介入に及び腰だった米国のクリントン大統領を例に、ブレア首相は「宥和政策は無策ということだ」と強調していました。コソボ紛争ではアルバニア人を中心に、75万人もが虐殺されたといわれています。ブレア首相の粘り強い働きかけで、クリントン大統領はようやく介入の意思を明らかにしました。その途端、セルビアのミロシェビッチ大統領は、コソボからセルビア軍を撤収させました。「正義とはそうした暴虐を絶対許さない確固たる信念だ」と、ブレア首相は繰り返し強調していました。その正義感の強い信念の政治家が、イラク戦争では誤った判断をしてしまいました。そして、今でもあの判断は、間違っていなかったと抗弁するのです。政治家の度し難さに困惑しました。「優れた政治や行政というのは、正義・公正を実現しようという強い信念を背景に、収集した情報を客観的に分析し得る能力のこと」です。我田引水的行為は政治でも行政でもありません。となりますと、今の永田町・霞が関をぶっ壊さない限り、日本のあすは開けません。###

(註)何しろ、肩が痛くて暫く中止します。

2008年9月11日 (木)

「小沢氏の政権交代論」を排す

 日本の戦後政治で最も問題なのは、官僚機構の腐敗と堕落に対し、抜本的なメスを一度も入れようとしなかったことです。元国連大使の波多野敬雄(よしお)氏は何年か前の民放テレビで、「角(田中角栄)さんは、役人の天下り先をたくさんつくってくれた。外務省の役人といえども、おのずずと角さんの応援団になりますよ」と、にこにこしながら話していました。枡添要一厚生労働大臣も参院議員になる前、役人の天下りの是非を問う民放のテレビ番組に出演し強い調子で言いました。「キャリア官僚の大半は高校時代、恋愛も何もかも犠牲にして受験勉強に集中した。そして、東大法学部に入り、民間の大企業より遥かに安い賃金で働き続けている。退職後に天下りして、それなりの報酬を得るのが何で悪い」。

 田中角栄氏が「コンピューター付きブルドーザー」と称された背景には、持ち前の鋭いひらめきと資金力のほかに、霞が関の強力なバックアップがあったからです。福田康夫首相の父親の福田赳夫元首相は、大蔵省主計局長経て政界入りしました。官僚中の官僚出身の人物です。角栄氏とは常に政治的ライバル関係にありました。しかし、官僚集団を味方につけたのは角栄氏側でした。波多野元国連大使の言うように、官僚の面倒見がよかったうえ、カミソリといわれた警察庁長官OBの後藤田正晴氏を懐刀として重用したからです。

 このように官僚を甘やかし続けたツケが、今、国民に重くのしかかっています。私たちが知った官僚機構の腐敗と体たらくは、先進国の中で前例がありません。だからこそ、政権交代を望む声が、民衆の間に広がっているのです。しかし、小沢一郎氏率いる民主党は先の通常国会で、国民や国家の利益を損ない続けました。1か月に及ぶ参院での審議拒否がそうです。またテロ対策特措法の延長法案に対する民主党の反対は、世界を本当に呆れさせました。頼りにならない日本というよりも、独善主義の日本というイメージを与えてしまいました。この失った信頼を回復させるのは容易でありません。

 8日に立候補の受付が行われた民主党の代表選挙も、民主主義と相容れないものでした。新聞報道によりますと、「対立候補が出ると、間近に迫った衆院選で、落選中の仲間が公認されなくなる」とか、「役職に就けず干される」といった恫喝による多数派工作が行われました。その結果、小沢代表の無投票当選が決まりました。

 確か「上げ潮派の素顔」の中でも申したと思います。小沢氏の資金管理団体「陸山会」による土地とマンションの購入問題です。2007年10月9日の毎日新聞の記事をご紹介いたします。

 陸山会の政治資金収支報告書などによると、陸山会は東京都港区のマンション「プライム赤坂」の一室を所有。ここにコンサルタント会社「エスエー・コンサルティング」が入居。同様に千代田区麹町のマンション「グラン・アクス麹町」に所有する一室に外務省、経済産業省などが所管する財団法人「国際草の根交流センター」が入居する。各部屋の登記簿上の所有名義は小沢氏になっている。

 エスエー社は02年1月から、交流センターは04年10月から入居し、それぞれ毎月7万円と20万円の家賃を陸山会に支払っていた。その総額は06年末までに計約1000万円に上る。エスエー社は9月末ごろ転居し、現在は入居していない。

 政治資金規正法では、政治団体による資金の運用について、預貯金、国債や政府保証債券、元本保証のある金融機関への信託以外は認められていない。総務省は「政治資金は国民の浄財。資金で購入した不動産を家賃を取って貸すのは同法が禁止する資産運用にあたる疑いがある」と指摘する。

 小沢氏の資金管理団体「陸山会」が2007年、陸山会は総額約10億円で、都内や盛岡市、仙台市などにマンション、土地などを購入し、登記簿上は、すべて小沢氏名義になっている。今年1月、これらの不動産を事務所費で購入していることが問題になったが、小沢氏は領収書などを公開した上で、「一部は秘書たちの住まいとして活用しており、個人資産ではない」と説明。政界引退または死亡後は「後進の支援」や「日米・日中の草の根交流基金」に陸山会の資産を充てると表明している。

 小沢氏は何故か、多くの政治的同志と袂を分かっています。主な人物は二階俊博氏、野田毅氏、扇千影氏、小池百合子氏、増田寛也氏などです。小沢氏はこれまで気に入らないことがあると、一切の連絡を絶つことがしばしばありました。また、記者団に意に沿わないことを質問をされますと、すぐ喧嘩腰になります。彼はテレビ出演する際、意見の異なる他党の幹部と討論することを嫌います。自ら提案した「国会の党首討論」を、嫌だといって放り投げているのと同じです。「ためしに小沢民主党に政権を!」なんていう有権者は、お人好し過ぎます。今は票欲しさに国民に向かって、猫なで声で甘い言葉を次々とかけています。内容も農家に対する所得保障に象徴されるように、甘い言葉ばかりです。しかし、これは小沢代表の仮の姿に過ぎません。本性は不誠実のうえ強権的かつ独善的で荒々しいのです。政権を渡したあとで、臍(ほぞ)を噛んだのでは遅いのです。小沢氏は民主主義と相容れない「亡国のポリティシャン」です。小沢氏が代表でない民主党が、政権に就くことにはもろ手を挙げて賛成です。###

2008年9月10日 (水)

永田町の田舎政治

 田舎政治とは地域の抱える課題について、何の認識もなければ、その課題を克服しようという意識をもとうとしないことです。やることといえば、ひたすらお茶会や酒宴を開き、世間話に明け暮れることです。どんな町村に行こうとも、現在、このような田舎政治をやっているところはありません。やっているのは、ただ1か所、永田町です。特に、森喜朗元首相に最も強く田舎政治の臭いを感じます。自民党総裁選挙が事実上スタートした中で、8月8日に開かれた最大派閥の町村派の総会について、10日の讀賣新聞朝刊は次のように伝えています。

 町村派代表世話人の中川秀直氏は、「政策集団として対応を強制したら、国民の目線にかなわない」と訴えた。「かなわない」というのは、「合わない」の間違いと思われます。「これを、不快そうに「早くやめなさい」と制したのは、町村派最高顧問の森元首相だった。それでも中川氏は、「小池百合子さんが捨て身で決意した。同志として応援しよういう人がいても理解する。終われば、森さんの言うノーサード(試合が終われば敵味方なし)ということだ」と続けた。これに対し、森氏は約40分間の独演で応じた。「私は麻生太郎君を支持する。彼は幹事長として安倍、福田内閣を支えてくれた。その恩義を返さないといけない。古い自民党の政治家といわれてもいい。人としての恩義を忘れてはいけない」。町村派のベテラン議員は、「森さんの演説で麻生支持の流れが出来るだろう」と語った。派内では安倍首相も麻生支持で動いており、小池氏を担ぐ中川氏は孤立しつつある。

 町村派の総会の翌日の9日、小池元防衛相支持グループが都内のホテルの一室に集まった。その席で、中川氏がぼそりとつぶやいた。「冷や飯もくえないかもしれないな」。しかし、中川氏はその夜のパーティで、自らを奮い立たせるように強調した。「干されるのが嫌なら政治家になるな。こんどの総裁選も、派閥の締め付けなんてやったらおしまいだ」。

 森元首相は内閣が発足して一定の期間が経ちますと、「内閣改造をやるのが望ましい」と必ず言い出す人物です。いわゆる大臣病患者の意見を代弁しているのです。森元首相は、しょっちゅうテレビに出演します。しかし、政策の話は見出しの部分を語るだけです。中身のことはほとんど語りません。おそらく語ることができないのです。田舎政治に没頭しているからです。

 自民党総裁選の実際の構図はこうです。「上げ潮派」vs「財務省を中心とする霞が関」です。上げ潮派は公務員制度の大改革・大幅な地方分権化の推進・巨額な霞が関埋蔵金の有効活用・政府資産の大量売却・金融緩和を通じて、景気の回復と財政再建の両立、小さな政府の実現を図りたいとしています。そうすれば、年金・医療・介護の改革も貧困対策、格差是正対策も、推進可能になると主張しています。一方、霞が関は、上げ潮派の主張にことごとく反対しています。特に、公務員制度の大改革については、OBも動員して反対を続けています。天下りが徐々に出来なくなってしまうからです。霞が関は麻生氏にも、与謝野馨氏に肩入れしています。何としても上げ潮派を潰したいからです。

 麻生氏の政策ブレーンは、リチャード・クー氏です。財政出動派のエコノミストです。不況の現在、思い切った財政出動をしなければダメだと言っている人物です。財政出動というのは、赤字国債を発行して公共事業をなどを増やそうというのです。但し、麻生氏は赤字国債の発行について、名言を避けるようになっています。先進国で赤字国債による財政出動しても、極めて一時的な効果しかありません。財政赤字が増えるだけです。先進国の場合、社会資本が一応整っているだけに、経済手的波及効果が少ないからです。もしも、新たな財政出動をせずに景気を回復させるとなりますと、上げ潮派が指摘している霞が関埋蔵金を使うしかありません。

 日本がおかれている経済的状況は未曾有の危機です。再三申しているように、世界規模の異常な資源・穀物高、米国発の金融市場の大混乱と世界同時不況の荒波に見舞われているからです。そうした中で、ひたすら田舎政治に没頭している人物が、永田町の主導権を握ろうとしているのを、世界は見逃すはずがありません。危機に臨んでも「政策よりも義理と人情を重視」、こんな馬鹿げたことがまかり通っているのです。日本の中央政治は、劣化というよりもクレイジーです。###

2008年9月 8日 (月)

危機感の乏しさ

「財政が大赤字だからといって、原油高などに苦しむ国民の生活をほったらかしにしていいわけがありません。財政よりも国民の生活のほうが、はるかに大事なんです」と力説するのは、こんどの自民党総裁選挙で本命視されている麻生太郎幹事長です。2001年に小泉純一郎政権が誕生するまで、日本はこうしたことを繰り返してきました。その結果、財政赤字は何と860兆円にも膨らんでいます。

 9月8日、小沢一郎氏が無投票で、民主党の代表に選ばれました。そして、記者会見しました。その中で、小沢代表は政権交代の必要性を強調したあと、民主党の政策をめぐる財源について次のように述べました。「政府予算には、一般会計にしろ、特別会計にしろ無駄なものが多々ある。そうしたものを使えば、消費税を値上げしなくても民主党が国民に約束した政策を十分実行できる」。

「霞が関埋蔵金」という表現こそしなかったものの、財源のメドについては自信満々の様子でした。埋蔵金の一つ一つについて、民主党は組織的に十分精査したに違いありません。国の予算をめぐる高橋洋一氏の地道な分析を、民主党は完全に咀嚼マスターしている感じです。一方、自民党の年配議員は財務省に洗脳され、埋蔵金を使うことに躊躇しています。やれ赤字国債の発行だとか、消費税の大幅アップだとか、呑気なことを言っています。財務省の決まり文句は、「埋蔵金は1回使ったらもうおしまい。恒久財源にはなり得ない」というのです。

 そんなことはありません。財務省の言う通りのものもあれば、そうでないものもあります。問題の本質はそんなことではありません。埋蔵金が実に巨額だということです。景気の回復や貧困対策などに、継続的に使えるということです。小沢代表は、「いま現在、無駄な予算は数十兆円」あると指摘していました。

 霞が関が目指しているのは、「天下り制度」の温存です。誠に情けない限りです。成立した「公務員制度改革基本法」を具体化するための関連法案が、来年の通常国会に提出される段取りとなっています。その骨抜き作業に、霞が関は懸命なのです。財政の赤字がどうなろうと、関係がないのです。先進国の中で、こんなに無気力で税金の無駄遣いに鈍感な政府機関はありません。

 前回も申しましたが、日本では借金まみれの財政が、あらゆることの足かせとなっています。財政の再建と不況の克服を同時並行的にやらねばなりません。それには、①埋蔵金の有効活用、②歳出カットの徹底、③公務員制度・地方分権改革の断行、④膨大な政府資産の売却が必要です。それらを実行したうえで、財源が足りなければ⑤消費税率のアップということになります。これは上げ潮派のシナリオです。おそらく民主党が政権奪取に成功したら、上げ潮派のシナリオを参考にするに違いありません。

 自民党若手議員の棚橋泰文氏は、赤字国債の発行に猛烈に反対しています。「これ以上赤字を増やしたら破産状態になる」と怒りまくっています。もの凄い迫力です。まさに正鵠を射ています。自民党の年配議員の危機感の乏しさが、日本転落の引き金を引くような気がしてなりません。###

 

2008年9月 6日 (土)

先駆者の苦悩

 人様に先駆けて未知の世界を切り開くのは容易ではありません。日本では借金まみれの財政が、あらゆることの足かせとなっています。財政を借金地獄から這い上がらせながら、格差是正対策、貧困対策、年金・医療・介護の抜本改革などをしなければなりません。また景気も回復させなければなりません。しかし、新たに世界的規模の資源高という要素も加わり、日本経済は急速に暗転を始めています。

 そうした中で、こんどの自民党総裁選挙では、経済・財政政策が最大の争点になることは間違いありません。国民の関心が経済・財政政策に集中しているからです。まだ候補者の顔ぶれは正式には決まっていませんが、各候補が掲げる経済財政政策は、①財政出動派、②財政重視派、③上げ潮派の3つに分類できそうです。9月5日の日経新聞朝刊の「経済教室」で、霞が関埋蔵金男として知られる高橋洋一氏が、それぞれの経済財政政策を以下のように図表にして比較しています。

経済成長景気回復

財政再建

政府規模

公務員制度改革・地方分権

埋蔵金活用

財政出動派

重 視

こだわらず

大きい

  ?

消極的

財政重視派

こだわらず

重 視

大きい

  ?

消極的

上げ潮派

重 視

重視

小さい

積極的

積極的

 この図表を見て一目瞭然なのは、上げ潮派の政策が群を抜いてベストだということです。ミソはいわゆる霞が関埋蔵金を、新たな財源として積極的に活用しようとしていることです。埋蔵金の存在について、財政出動派も、財政重視派も、積極的に認めようとしません。財務省がそもそも認めようとしなかったからです。しかし、これまでの高橋氏・竹中平蔵氏・自民党の中川秀直氏との論争で、埋蔵金があることを渋々認めました。財務省は赤っ恥をかきました。しかし、上げ潮派を逆恨みして「あることないこと」を吹聴し続けています。

 高橋氏は東大理学部数学科卒の元大蔵官僚です。1997年に実現した財政投融資改革をはじめ、郵政民営化や道路公団改革の影の中心人物です。まさに先駆者中の先駆者です。安倍晋三政権下でも、内閣参事官として小泉・竹中改革の継続を画策しました。しかし、財務省の意見を重視する与謝野馨官房長官に恨まれ、退職を余儀なくされました。上記の図表には、高橋氏の苦悩が滲み出ています。上げ潮派の先見性を、何とかして分かって欲しいという切実な願いを感じ取れるからです。

 自民党の総裁選に意欲満々の自称上げ潮派の候補者たちは、いずれもトンチンカンなことを口走っています。「一番強く訴えたいことは何ですか」という記者団の質問に対し、「構造改革の継続です」なんてことを言っています。それよりも、「上げ潮派のミソは、巨額な霞が関埋蔵金のフル活用です。それによって、景気対策や格差是正に必要な財源の手当てができます。赤字国債を発行しなくても、この経済的難局を乗り切れます」と言わなくてはなりません。上げ潮派の一連の著書を、読んでいないのではないかと疑いたくなります。上げ潮派を理解するための必読書は5冊です。高橋洋一氏の「さらば財務省」と「お国の経済」、中川秀直氏の「上潮の時代」と「官僚国家の崩壊」、長谷川幸洋氏の「官僚との死闘700日」です。 

 霞が関埋蔵金というのは、とても巨額です。前にも記しましたが、高橋氏は文芸春秋9月号で、これまでに掘り出した埋蔵金の金額と使いみちを説明しています。それによりますと、2006年は20兆円です。内訳は財政融資資金特別会計が12兆円、外国為替資金特別会計が8兆円です。小泉首相の指示で全額国債の償還にあてました。2007年は9.8兆円です。国債の償還には3兆円しか使いませんでした。残り6.8兆円は財務省と日銀が保有している国債の買い入れに、それぞれ3.4兆円ずつあてました。

 高橋氏は本来の埋蔵金に加えて、郵政民営化などの改革に伴って生じるいわゆる「改革の配当」のリストも文芸春秋9月号に掲げています。その合計は、何と50兆円です。日本人の民族的特性として、先駆者を白眼視し誹謗中傷しがちです。高橋氏の場合、これまで行財政運営のあり方について、是正すべき点を厳しく指摘しています。高橋氏や中川秀直氏は、政府資産を積極的に売却するよう提案しています。諸外国に比べて、政府資産が際立って多いからです。売却できる政府資産は、500兆円前後あると述べています。そうしますと、860兆円近い財政赤字は、360兆円に圧縮されます。都心にある公務員住宅の売却について、高橋氏は「さらば財務省」の中で、次のように記しています。

 財務省理財局の課長たちは、「民間に所有権を移すと、業者に手数料を取られるので、結果的に今より赤字になる」という主張だった。しかし、民間は財務省のように、都内の1等地に低層の公務員住宅を建てて終わりというような非効率な土地活用はしない。高層化して付加価値を高めようとする。1階はテナントにし、コンビニを入れるなどの工夫も当然やるだろう。官はそのうちの3階分を公務員住宅として借り受ければいい。税収が上がるので、トータルとしてはお釣りが来る。国有財産のほうが効率的というのは単なるこじつけに過ぎない。

 中川秀直氏は政界きっての政策通です。メディアは与謝野馨氏も政策通として、評価しています。しかし、与謝野氏の著書「堂々たる政治」を読んでみてください。中川秀直氏の著書との差は歴然としています。こんどの自民党総裁選挙には、本来なら中川秀直氏が立候補すべきです。しかし、森喜朗元首相は、「安倍氏、福田康夫氏と町村派の2人が、相次いで政権を途中で投げ出した。そして、国民に大変な迷惑をかけた」と述べ、中川氏の出馬に反対しています。また、中川氏自身も、「去年の参院選の敗北は、幹事長だった自分に責任がある」として、立候補を断念しています。また、中川氏自身には、過去の女性スキャンダルが、いまだにインターネットなどで取り上げられています。問題となった写真をめぐる訴訟では、中川氏側が勝訴しています。しかし、こうした事情で、中川氏が政治・行政の表舞台に立てないのは、日本国民にとって大変な損失ですし不幸です。そのことを理解できる国民が、うんと増えることを願ってやみません。###                                         

2008年9月 4日 (木)

自民党総裁選

 自民党総裁選挙は9月22日の告示に向けて、候補者が出揃いつつあります。これまでのところ出馬が確実なのは、麻生太郎氏と与謝野馨氏の2人です。また石原伸晃氏と小池百合子氏の2人も、立候補に必要な20人の推薦集めに懸命です。こんどの自民党総裁選は、海外からも非常な注目を集めています。それは過去2回、自民党が総裁の人選を間違えたからです。安倍晋三氏にしても、福田康夫氏にしても、与党第1党の総裁として政権を担うにはひ弱過ぎました。世界は新総裁の首相としての資質と、経済政策に注目しています。

 日本も欧米諸国も、不況下の物価高(スタグフレーション)が深刻化しつつあります。それだけに自民党総裁選の各候補は、経済政策を重点に戦わざるをえません。新聞各紙も、経済戦政策が対立軸になると分析しています。

 麻生氏は不況からの脱出を目指して、財政出動による景気対策を提唱しています。当面最優先すべきは、国民の暮らしだという考えです。与謝野氏は財政の赤字をこれ以上増やすことには反対という立場です。そして、歳入歳出の一体改革によって、安定した経済財政運営をはかりたいという考えです。石原氏は「私のウイングは麻生氏とは逆にある」と述べて、構造改革の継続などによる景気対策を打ち出す構えです。小池氏は上げ潮派です。構造改革の継続による小さな政府の実現、徹底した無駄遣いの排除、政府資産売却などを通じて、経済成長と財政再建を両立させたい考えです。経済戦略をめぐる路線論争の深まりが期待できそうです。こうしたことは、自民党の総裁選挙では初めてです。有権者も各候補の論戦を通じて、おのずと経済政策の知識が深まるはずです。

 話は突如変わります。3日夜、民放の報道ステーションを見ました。コメンテーターとして、三井物産戦略研究所の寺島実郎所長が話していました。「小泉政権以来、日本は米国に追従するばかりであった。しかし、ドイツはこの間、アメリカとの間の地位協定の見直しを行う一方、必要な一連の改革を次々と行った」。

 一見もっともらしい解説です。しかし、ドイツの場合、アメリカとの地位協定は、初めからドイツの国内法を適用するということになっています。そして、5年ごとに見直すことが定められています。一方、日本の場合、当初から日本の国内法を適用しないことになっているのです。すなわち、ドイツの場合、初めから対等の協定であるのに対し、日本の場合、初めから不平等な協定なのです。そのことを説明しないで、「ドイツは協定の見直しをしたのに、日本は協定を見直しをしていない」と解説するのは事実と異なります。寺島氏は日米関係の問題になりますと、日本政府の弱腰を憂慮する余り、過去にも似たようなミスをしています。日米地位協定については、1日も早くドイツと同じように対等な協定にすべきことは言うまでもありません。しかし、繰り返し申します。民主主義には、事実の究明とそれに基づく公正な報道が絶対欠かせません。ゆがんだ報道や一方に偏した報道を、許してはなりません。###

2008年9月 3日 (水)

日本の現状

 日本の現状を大づかみに客観的に把握することは、自民党の総裁選挙や衆院の解散総選挙を控えているだけに、有権者にとって極めて重要です。日本は戦後最大の危機に直面しているというのが、知識人共通の認識です。

 大きな危機の一つ目は、不況下の物価高です。経済の悪魔と呼ばれるスタグフレーションです。米国のサブプライムローンに端を発した金融危機、巨額な投機資金の商品市場への流入、中国・インド・ブラジルの経済発展などが複雑に絡み合って、世界経済を直撃しています。一国だけでは解決不可能です。各国が協調して対策を講じませんと、解決できません。日本は主要8か国の一員として、国際協調の先頭に立つべきです。

 大きな危機の2つ目は、格差の拡大です。年収200万円以下の貧困層が、1300万人もいるというのですから深刻です。「労働者派遣法」など労働法制の行過ぎた規制緩和が原因でした。規制を強化すべきだとの意見が強まる中で、企業経営者は強く反対しています。低賃金に依存した企業の経営体質を、元に戻すのは容易ではありません。しかし、貧困層の拡大は、自殺者の増加、凶悪犯罪の増加を招いており、労働法制の規制強化は避けて通れません。

 大きな危機の3つ目は、巨額な財政赤字です。財務省の調べによりますと、国と自治体の財政赤字は合わせて、860兆円近くに達しています。一方、外国のアナリストの中には、1000兆円を超えているという見方が少なくありません。2009年度予算では、22兆円も借金の返済にあてなければなりません。財政を再建軌道に乗せる歳入歳出の一体改革も、総選挙を控えて先送りされる見通しです。医療・年金・介護の抜本改革は、歳入・歳出一体改革の重要な柱です。 

 大きな危機の4つ目は、これからの構造改革の根幹をなす公務員制度改革が進まないことです。基本法こそ成立したものの、各省庁による天下りの禁止や年功序列制度の廃止問題になどについて、骨抜きを目指す官僚の抵抗が続いています。また、中央省庁の権限を大幅に地方に移す改革も藪の中です。

 地球温暖化防止やテロ対策の国際的枠組みに参加するのは、先進国としての日本の義務です。事の進め方に異論があるのは当然です。しかし、反対するのは、与野党を問わず極めて無責任です。4年前の米国大統領選挙で、ブッシュ大統領が京都議定書を受け入れないと分かっていた有権者は10%に過ぎなかったとのことです。先日、アメリカの知識人が嘆いていました。日本の有権者は、アメリカのようなことがあってはなりません。特に、次の衆院選挙は極めて重要です。有権者が選択を間違いますと、日本は再浮上のチャンスを逃すだけでなく、事実上の独裁・恐怖政治に陥ってしまいます。###

2008年9月 2日 (火)

福田首相の退陣

 福田康夫首相が9月1日夜に行った突然の退陣表明には、一瞬、びっくりいたしました。大阪府の橋下徹知事は、「行政改革は着実に進んでいたのに・・・」と、退陣表明を惜しんでいました。しかし、就任当初から官僚に全面依存の政権運営だっただけに、個人的には1日も早い退陣を願っていました。 

 福田首相が1日夜の緊急記者会見で 実績の一つに道路特定財源の一般財源化を挙げたのには驚きました。福田首相の言い方は、フェアでありません。道路特定財源の無駄遣いの数々を指摘したのは民主党でした。その結果、自民党の道路族の面々も、一般財源化に反対できなくなってしまいました。一般財源化実現の功績は、民主党90%、福田首相10%でした。それが一般財源化実現の真相であり事実です。しかし、自民党道路族と国土交通省は2009年度も、これまで通りの道路予算枠を確保しようと懸命です。

 9月1日にも申し上げましたが、民主主義は事実の究明と、それに基づく公正な報道がなければ成立ちません。ゆがんだ報道、無責任な政治家や評論家の意見を鵜呑みにするのは、有権者として自己否定です。9月2日朝の民放テレビの番組で、自民党の河野太郎氏が これから行われる自民党総裁選挙について次のような主旨の話していました。「先ず、名前(候補者)ありきというのはいけない。どの総裁選候補が、どのような政策を取り揃えて訴えるか。それを見極めたうえで投票する候補者を決めるべきだ。まず政策、そのあとに名前(候補者)ということだ」。政治家であれ、有権者であれ、この精神を失ってはなりません。

 支持率がさっぱり上がらない福田政権に対し、公明党は距離をおき始めたと伝えられていました。その具体的内容は、①2009年夏の東京都議選で公明党の勝利を確実にするため、衆院の解散総選挙をできるだけ早く行うこと、②海上自衛隊によるインド洋での給油活動継続法案について、衆院での再議決はしないこと、③いわゆる定額減税を早期に実施することの3つです。

 ①は福田首相による衆院の解散総選挙に、反対であることも意味しています。これには、自民党衆院議員のほとんどが賛成です。自民党が大敗を喫することが明らかだからです。しかし、②と③は日本の国際協調路線や借金漬けの財政を犠牲にしてでも、公明党の組織を守り抜きたいという意思表示です。政権与党としての鼎の軽重が問われます。10年近く前の「地域振興券」のときも、各方面から問題視されました。

 福田首相でなくとも、衆院の解散総選挙の日程が近づくにつれ、政権運営が行き詰まることは誰の目にも分かっていました。公明党の離反に呼応するかのように、自民党内からも退陣要求のマグマが噴出しかかっていました。そうした中での退陣表明だけに、福田首相にとっては先手を打った政治的決断でした。しかし、安倍晋三前首相に続いて、こうも軽々と政権を放り投げられますと、永田町の劣化はどうしようもないところまで来ていると思わざるを得ません。###

2008年9月 1日 (月)

日本の落日と再浮上

 霞ヶ関の劣化は、まだまだ続いています。2009年度予算の概算要求で、国土交通省は2008年度より15%多い道路予算を要求しました。道路特定財源の一般財源化によって、道路関係予算が大幅に削減されることを恐れたからです。借金漬けの財政を無視した、極めて筋の悪い浅知恵です。公務員制度改革も、これから法案化する「天下りの禁止」などについて、各省庁が骨抜きにしようと悪知恵の限りを尽くしています。

 問題なのは霞ヶ関だけなく、国会も同じです。霞ヶ関による税金の巨額な無駄遣いは、窃盗であり横領です。しかし、国会は本来の使命を放棄して、霞ヶ関の犯罪的行為をずっと見過ごしてきました。いや、かなりの数の国会議員が、霞ヶ関と組んで不心得な政治活動を続けてきました。欧米の主要国の中で、統治機構がこんなに退廃し腐りきった国はありません。何だかんだいわれるイタリアも、日本よりは遥かにましです。

 マスメディアも問題です。1970年代後半から~1990年代初頭にかけて、大手新聞各社とNHKの記者部門は、「きつい、汚い、危険」のいわゆる「3K職場」として若者から嫌われました。その結果、以前に比べて優秀な人材を多数確保できなくなりました。そうした中で、唯一の例外は、日本経済新聞社です。他社に比べて待遇がよかったからです。その結果、日経を除く各社は情報源に食い込む取材力、情報の分析力、記事を書く筆力が著しく減退しました。霞ヶ関の暴走、政治の怠慢を許したのは、大手新聞社とNHKにも大きな責任があります。大手新聞社とNHKは政治ニュースと政治解説の分野で、今も日経新聞に大きく水をあけられたままです。

 霞が関、国会、マスメディアが本来の使命を果たさないとあっては、日本が再浮上するはずがありません。最近、特に陰鬱になったのは、民主党の代表選挙をめぐる動きです。小沢一郎代表に対抗して立候補すると、「人事などで干される」、「落選中の仲間が公認されなくなる」などを理由に、立候補潰しが行われたと新聞各紙が伝えました。民主主義とは程遠い政党の姿です。そのうえ、政策らしい政策をほとんど用意せず、小沢代表は「自公政権では国民の生活は絶対よくならい」と訴えるばかりです。自ら提唱した「党首討論」もほったらかしです。これほど無責任極まりない政治家・政党代表を見たことがありません。「亡国のポリティシャン」そのものです。

 日本は米国発の世界同時不況に巻き込まれ、日に日に景気後退が深刻化しています。そのうえ、原油・鉱物資源・穀物などの世界的高騰で、不況下の物価高に見舞われつつあります。スタグフレーションという経済の悪魔です。さらに、富める者と貧しき者の格差拡大と、巨額な財政赤字にも苦しんでいましす。小沢代表や民主党には、この難局を乗り切る能力は全くありません。厳然たる事実です。誹謗中傷ではありません。

 この難局を乗り切るメニューは、これまでのところ政府も、どの政党も、国民の前に提示していません。政府が先日まとめた総合経済対策では不十分です。今こそ、小泉・竹中改革によって生じた「改革の配当含む霞ヶ関埋蔵金」を、徹底的に有効活用すべきです。しかし、朝日新聞は8月31日の社説で、特別会計にある積立金、いわゆる「埋蔵金」の流用は禁じ手にすべきだと主張しました。危機存亡のときに、こんな主張は説得力がありません。これが今の朝日新聞の論説陣の水準です。

 福田内閣であろうと何内閣であろうと、元内閣参事官の高橋洋一氏に経済財政運営の全てを任せるべきです。高橋氏や自民党の中川秀直氏らは、この難局を乗り切る政策の90%を取り揃えています。無能な官僚や政治家が、彼ら「上げ潮派」を嫉妬し白眼視するひと時は終わりました。「上げ潮派」を内閣や党の要職に就けませんと、日本は崩壊してしまいます。経済財政担当大臣の与謝野馨氏の著書「堂々たる政治」と、上げ潮派の一連の著書を読み比べてみますと一目瞭然です。

 8月28日の日経新聞夕刊によりますと、イギリスの資源会社が2007年、日本の排他的経済水域に鉱区設定の申請をしました。日本近海に多いといわれる海底の鉱物資源の採掘が狙いです。日本の企業グループも、イギリス企業の後を追う形で、海底の鉱物資源の調査・採掘の動きを加速させています。鉱物資源の高騰で、海底からの採掘も採算がとれる可能性が出てきたからです。それにしても、イギリスの資源会社の俊敏な動きには驚きました。

 全般的に日本の産業界は、新しい情報に対して敏感です。それに比べて、日本の政界や官界は非常に鈍感です。そのうえ、小田原評定が大好きです。難しいこことはすべて先送りです。しかし、これにかかる税金もバカになりません。政治と行政にはスピードも必要です。それに加えて、情報開示や公正さが求められます。マスメディアにも公正な報道を行う義務があります。それには、事実の究明が不可欠です。民主主義はマスメディアによる事実の究明と、公正な報道がなければ成り立ちません。###

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