地方分権化
国の出先機関を廃止して、職員や予算を都道府県などに移譲することが、日本にとって重要な課題の一つになっています。行政の2重・3重構造を改め、税金の無駄遣いを無くすことにつながるからです。また霞ヶ関の権限が縮小するため、行政運営の効率化も期待できるからです。知事などの自治体の首長が、いちいち霞ヶ関に出向かなくても済むようになります。
しかし、霞ヶ関の権限を縮小して地方自治体の権限を拡大することについては、危ぶむ向きが少なくありません。これまで霞ヶ関に依存して行政をすすめてきただけに、拡大した権限を正しく行使できる人材が揃っているだろうか、汚職は増えないだろうかなどの懸念です。国の出先機関の職員が都道府県に移ってきても、そうした懸念は解消されません。
ですから、地方分権の拡大に備えて、地方自治体は職員の能力をアップさせる研修制度の充実にもっともっと努めねばなりません。また、議会が行政のチェック機能を果たすよう、住民も議会・議員の監視を強めねばなりません。
権限が拡大するということは、それだけ利権が増えるということです。それだけに、汚職防止の対策も、思い切って強化しなければなりません。汚職の被害者は大部分が納税者です。汚職によって税金が無駄に使われるからです。公務員にとって最も大事なことは、公正な行政運営をするということです。議員が我田引水的な要求をしてきても、公正な行政運営に励む信念にいささかの揺るぎもなければ、議員の不当な要求に屈するはずがありません。また、行政の各部門にしても議会にしても、会計のチェック機能も強化しなければなりません。
大分県教育委員会の教員採用試験や校長・教頭の昇進をめぐる汚職事件は、国民にとって大きな衝撃でした。正しいことを教えなければならない教育の中枢が、極めて長い年月にわたり不正で汚れに汚れ切っていたからです。教員採用試験の成績を改ざんして、合格者を不合格者に、不合格者を合格者にしていたというのですから、とにかくやりきれません。教員採用試験の合否や校長・教頭の昇進を決める要職が、公正さとは無縁の人物よって占められ受け継がれてきたからでした。
かって新潟県の西山町では、町長が何年も地方競馬に多額の公金をつぎ込んでいたという不祥事が摘発されたことがありました。内部監査、議会、収入役などのチェック機関が全く機能していなかったからでした。大分の事件も、新潟の事件も、地方ではとんでもない不祥事が起り得ることを示しています。かといって、地方分権化を滞らせたのでは日本の明日はありません。###
