サブプライムローンと不正取引
アメリカのサブプライムローンを含んだ金融商品の暴落による金融市場の混乱は、1年経って益々深刻化の様相を呈しています。サブプライムローンというのは、信用力の低い個人向け住宅融資のことです。アメリカの金融機関は信用力の低い個人向け住宅融資についても、住宅を担保に次々と証券化しました。そして、証券化したそれらの金融商品をさらに細かく分割したうえ、他の金融商品に混ぜ合わせて投資家や銀行との間で売買を繰り返しました。
アメリカの住宅バブルの崩壊でサブプライムローンの返済率が悪化しますと、サブプライムローンの混じった金融商品は暴落を始めました。そして、世界的な株安をもたらしました。その結果、株式市場から離れた資金は次々と商品市場に流れ込みました。そして、原油・穀物・鉱物資源の高騰を招くなど、実体経済にも多大な悪影響を及ぼしています。不況下の物価高がそうです。
昨年の7月以降、多くの住宅金融機関は信用力の低い個人とローン契約を結ぶ際、数年後に利息が大幅に跳ね上がるのを隠したり、契約さえ結べば支払いのほうは何とかなるなどと、詐欺まがいの勧誘をしていたことが次々と明らかになりました。住宅価格が年々値上がりしていた時代は、こうした詐欺まがいの勧誘は表面化しませんでした。しかし、バブルがはじけて住宅価格が暴落してきますと、信用力の低い個人はローンを払えなくなりました。そして、ローンで購入した住宅を差し押さえられました。その結果、詐欺まがいの勧誘がどっと表面化しました。
そうした中で、7月26日の日経新聞朝刊は、アメリカの金融当局が市場の規制強化に乗り出したことを伝えています。また、司法当局による金融機関の不正摘発も相次いでいると報道しています。このうち市場の規制強化で最も大きなものは、株の空売りの規制拡大です。アメリカの金融当局が考えている株の空売り規制は、現物株の手当てを全くせずに空売りをする取り引きです。株価の値下がりを防ぐのが狙いです。
また不正摘発は、住宅ローン詐欺で144件を立件し、関係者406人を訴追しました。また、スイスの金融最大手のUBSを金融商品の虚偽説容疑で、証券詐欺で大手証券会社・ベアー・スターンズの元幹部2人をそれぞれ訴追しています。さらに、原油先物市場の相場操縦の疑いで、オランダの投資ファンドを起訴したほか、金融商品をめぐる虚偽説明の疑いでアメリカ大手銀行の「ワコビア」を捜査している模様です。
サブプライムローンをめぐる不正の摘発については、7月から本格化しています。内偵捜査に、ほぼ1年を費やしたことになります。市場は自由度が高いほうが、使い勝手がよいに決まっています。しかし、法律に触れる不正な取り引きについては、断固として取り締まりませんと、市場の信頼性が損なわれてしまいます。日本の市場も例外ではありません。
