金融恐慌に突入
米国の金融危機は、いよいよ恐慌に転じました。米下院が29日、「金融安定化法案」を否決したからです。これに伴って、この日のニューヨーク株式市場は、777ドルという史上最大の下げ幅を記録しました。また、この日、米大手銀行のワコビアが、銀行部門をシティグループに買収されました。
米国の金融恐慌の影響で、欧州の金融機関も次々と経営危機に陥っています。日本経済新聞によりますと、英国の住宅金融大手の「ブラッドフォード・アンド・ビングレー(B&B)は、29日、一部国有化されました。国有化されたのは、420億ボンドに及ぶリスクの高い住宅ローン部門などです。残りの210億ポンドの預金と約200の支店は、スペイン最大手の銀行サンタンデールに売却されました。さらに、ベルギー、オランダ、ルクセンブルクのベネルックス3国は、28日夜、金融大手のフォルティスの一部を国有化しました。投入された公的資金は、総額112億ユーロです。
日米欧の主要10か国の中央銀行は、29日、市場へのドル資金の供給額を大幅に増やすことを決めました。それによりますと、資金供給額はこれまでの2倍の6200億ドルに増やすとしています。また、資金供給の期間も、これまより3か月延長して、来年4月まで続けるとのことです。その結果、日銀が供給するドル資金は、1200億ドルと倍増することになります。
米下院が「金融安定化法案」を否決したのは、与党共和党議員の造反によるものでした。造反議員の多くは11月の選挙で、苦戦が伝えられているとされています。それだけに、国民の間に根強い反ウォール街の感情に従わざるを得ませんでした。海外からは経済合理性よりも、1票のほうを優先したと非難される所以です。
それにしても、今の米国は金持ち優遇社会です。富豪たちも、こぞってそれを認めています。中でも、金融機関の役員報酬は、法外過ぎます。数十億円というのは当たり前でした。退職金となりますと、100億円を超えていました。今度の金融安定化法案では、議会幹部の要請で、役員報酬に制限を加えることが盛り込まれました。しかし、国民の多くは、それに納得していません。経営責任を追及すべきだとしています。金融安定化法案がどのよう手直しされ、いつ議会で成立するのか、今のところ見通しが全く立っていません。米国の金融恐慌は、先行き不透明の中でさらに深刻化しそうです。###
(註)肩が痛く、再び休止します。
